高校受験の基礎知識

東京都立 都立入試の状況

前年度までの都立高入試は,新型コロナウイルスにより,それに対応した制度や日程となり,各年度の受験生たちは様々な面で影響を受けました。新型コロナウイルスは2023年5月に第5類へ移行となり規制が大きく変わりました。それに伴い,今年度の都立高入試では,例えば推薦入試で「集団討論」が実施された高校が一部あります。また,追々検査は廃止となりました。ですが,一番大きなトピックとしては,男女合同定員としての選抜であったと思われます。また2年目を迎えた英語スピーキングテスト(ESAT-J)もあります。今年度の入試を振り返ります。

【推薦入試】

文化・スポーツ等特別推薦の入試状況

文化・スポーツ等特別推薦は延べ89校256種目899人の募集数で実施,応募人員は1,863人で応募倍率は2.07倍で,前年度(1.90倍)から0.17ポイントあがりました。

特別推薦の特徴は次の通りです。

  • 応募倍率は高めで推移しているが,一般推薦よりは低い
  • 人気の高い種目は硬式野球やサッカーなど,運動系のメジャーな種目に偏り,中学校時代にはあまりなじみのない種目への応募者は非常に少ない
  • 特別推薦は一定水準以上の技能を持っていないと応募者数が募集人員の数より少なくても不合格になることがある

特別推薦と一般推薦の両方に出願した受検生は応募者の74.4%で,前年度(71.2%)から上がりました。2021年度以降比較的高い割合で推移しています。コロナ禍以降同時出願によって合格のチャンスを増やし,できるかぎり少ない受検機会で進学先を決めようと考える受検生が増えており,今回はその傾向が継続していることがわかります。
もっとも応募倍率が高かったのは,城東「硬式野球」で9.00倍でした。次いで松が谷(普)「陸上競技」8.00倍東久留米総合「サッカー」6.60倍江戸川「硬式野球」6.50倍府中東「サッカー」6.25倍東大和「サッカー」6.00倍杉並「硬式野球」5.75倍城東「サッカー」・小平西「バスケットボール」・武蔵丘「硬式野球」の3校が5.67倍で並び,片倉(普)「サッカー」・美原「バスケットボール」2校が5.50倍で続きます。

応募倍率が3倍以上となった41校13種目についてみると,サッカーが17校,硬式野球が15校,バスケットボールが10校と人気種目のベスト3は不動です。

理数等特別推薦の入試状況

理数等特別推薦は2校16人の募集数で実施,応募者は20人,応募倍率は1.25倍でした。今年度より科学技術が創造理数科を開設しています。立川の創造理数科が3年目の特別推薦の入試でしたが,応募者数が年々減っています。

一般推薦の入試状況

特別推薦含む推薦入試の全日制募集人員9,445人に応募者数は23,421人,倍率2.48倍で過去30年間中最低だった前年度(2.47倍)から0.01ポイントアップしました。

学科別応募倍率 2024 2023
普通科男子 2.87
※男女問わず
2.60
普通科女子 3.20
コース制 2.64 2.04
単位制普通科 2.97 2.83
普通科計 2.87 2.87
商業科 1.44 1.39
ビジネスコミュニケーション 1.58 1.62
工業科 1.25 1.21
工業科(単位制) 1.18 0.78
科学技術科 1.38 1.57
農業科 1.84 1.99
水産科 1.71 1.29
家庭科 2.11 2.30
家庭科(単位制) 1.90 2.10
福祉科 0.90 1.50
理数科 1.25 1.50
芸術科 4.90 4.40
体育科 2.71 2.75
国際科 3.67 4.24
併合科 0.00 0.00
産業科 1.67 1.60
専門学科計 1.56 1.55
総合学科 2.29 2.21
全日制計 2.48 2.47
<推薦応募倍率の推移>

上の表にあるとおり,普通科(コース制と単位制以外)は2.87倍(前年度2.89倍,普通科男子2.60倍,女子3.20倍)で0.02ポイント下がりました。コース制2.64倍(同2.04倍),単位制普通科2.97倍(同2.83倍)とそれぞれ上がり,普通科全体では2.87倍(同2.87倍)と前年度と同倍率となりました。
専門学科では,商業科1.44倍(前年度1.39倍),工業科(単位制以外)1.25倍(同1.21倍),工業科(単位制)1.18倍(同0.78倍)等,倍率アップとなった学科が多く,専門学科全体では1.56倍と前年度(1.55倍)から0.01ポイント上がりました。また,総合学科は2.29倍で前年度(2.21倍)から0.08ポイント上がりました。2年連続のアップです。

次の表は,校長会予備調査時の都立志望者の内,どれくらいの割合で推薦入試に応募したのかを示した表です。集団討論が実施されなくなった2021年度には倍率が上がったものの,それ以外の年度では倍率ダウンが続いています。都立高校第一志望者が推薦入試に応募する出願率は全日制全体で47.6%,これは推薦応募倍率が今年度よりも高かった2020年度よりも高い出願率であり,都立高志望率自体の低下が推薦応募倍率の低下につながっているとわかります。

  2024 2023 2022 2021 2020
普通科男子 44.5% 40.7% 41.0% 44.8% 40.1%
普通科女子 47.8% 48.0% 52.7% 47.8%
コース制 69.5% 68.5% 69.6% 74.0% 64.4%
単位制普通科 45.8% 43.7% 47.2% 50.2% 46.6%
商業科 63.5% 63.5% 66.9% 63.3% 55.8%
工業科 62.7% 61.5% 62.0% 64.3% 59.5%
農業科 59.0% 55.6% 61.4% 60.6% 55.6%
家庭科 66.2% 71.6% 68.9% 77.3% 65.5%
総合学科 60.1% 60.1% 63.9% 69.0% 62.2%
全日制計 47.6% 47.3% 48.2% 52.2% 47.1%

※上記工業科・家庭科は単位制を除きます。

以下は推薦入試校倍率が高い上位5校です。

<推薦入試校倍率ベスト5>
  学校名 倍率
1位 三田 5.31
2位 本所 5.21
3位 板橋 5.00
4位 城東 4.97
5位 豊島 4.66

前年度の倍率高順位5校とは顔ぶれが全く異なる結果となりました。(男子…片倉,小岩,鷺宮,東大和,東村山/女子…鷺宮,西,富士森,小岩,広尾)
単位制普通科は新宿が7.66倍でトップ,大泉桜の3.73倍が続きました。新宿の7倍超えは7年ぶりです。総合学科では,晴海総合3.30倍,杉並総合2.97倍と続きました。晴海総合は6年連続で応募倍率が増えています。
専門学科では,前年同様総合芸術「美術」が5.46倍でトップ,次いで同校「舞台表現」4.83倍,工芸「グラフィックアーツ」4.70倍,同校「デザイン」4.50倍,園芸「動物」4.20倍と続きました。定員が少ないため,年によって入れ替わりが目立つ専門学科ですが,総合芸術の美術や舞台表現,工芸のデザインは前年度も上位に入っていました。
応募者数が募集人員に達しない定員割れの学校・学科は15校22学科で前年度(19校31学科)から大幅に減りました。
全日制の受検者は23,349人,合格者数は9,262人で合格率は39.7%となって前年度と同じ率となりました。
初年度実施の科学技術「創造理数」の理数等特別推薦は,募集人員8人に対し,11人が受検し,合格者は6人,合格者数が定員を満たしませんでした。実施3年目の立川「創造理数」でも同様の現象が起きています。募集人員8人に対し,9人が受検,合格者は6人という結果でした。理数等特別推薦の選考は一般推薦とは異なり「各都立高校で定めた基準に達していると認められた者の中から合格候補者を決定する」とされており,各高校の定めた基準に達した受検者がそれぞれ6人にとどまったものと考えられます。

  2024 2023 2022 2021 2020
普通科男子 34.8% 38.0% 37.4% 34.8% 37.7%
普通科女子 31.5% 31.1% 27.9% 30.1%
コース制 37.9% 49.0% 39.2% 44.7% 63.6%
単位制普通科 33.8% 35.4% 32.6% 31.8% 36.2%
商業科 69.6% 70.1% 73.5% 62.7% 59.3%
工業科 68.9% 72.8% 67.4% 64.7% 66.0%
農業科 54.3% 50.5% 49.6% 44.2% 51.4%
家庭科 47.4% 43.5% 57.4% 25.8% 37.3%
総合学科 43.8% 45.6% 48.4% 43.8% 47.0%
全日制計 39.7% 39.7% 39.2% 35.6% 38.7%

※上記工業科・家庭科は単位制を除きます。

【一般入試】

第一次募集・分割前期募集の入試状況

まとめ
  1. 一般入試の最終応募倍率は1.39倍で前年度より0.02ポイントアップ。普通科,専門学科,総合学科最終応募倍率それぞれアップ。普通科は全体的に安全志向。
  2. 受検倍率は1.29倍で前年度と同倍率。(3年連続)定員割れは減少。
  3. 実質倍率は1.35倍で前年度と同倍率。不合格者の数は前年度より減。(男女合同の選抜により,女子が今まで以上に合格しやすく,男子が合格しづらくなったと思われます)
出願状況

一般募集人員30,241人(海外帰国学級募集分を除く)に対し,出願締め切り時(2月6日)の応募者数は41,885人,応募倍率1.39倍で前年度(1.37倍)より0.02ポイント上がっています。
出願締め切り時で応募者が定員に達しなかった全日制の学校(島しょ除く,大島海洋国際含む)は,普通科(コース制・単位制含む)延べ16校(前年度26校),専門学科延べ25校49学科(同29校52学科),総合学科は4校(同1校)と,普通科,専門学科で減少しました。
願書差し替え(2月14日〆切)状況を見ると,全日制で願書を取り下げた人は2,124人,応募者の5.1%で前年度(5.0%)からやや増加しました。この結果,普通科(コース制・単位制含む)8校(前年度21校),専門学科24校46学科(同28校50学科)が定員割れのまま残りました。2/6時点では総合学科で定員割れだった4校つばさ総合,葛飾総合,町田総合,東久留米総合は願書差し替えで応募者数が定員を超えました。

全日制の最終的な応募者数は41,885人(海外帰国生除く),最終応募倍率は1.39倍で,ともに願書締め切り時と同じ結果となりました。

学科 募集人員 応募人員 応募倍率 2023 2022 2021 2020
普通科 男子 21,481 31,551 1.47 1.45 1.46 1.43 1.49
普通科 女子 1.46 1.46 1.48 1.53
島嶼 306 91 0.30 0.42 0.37 0.38 0.42
コース制 224 364 1.63 1.46 1.58 1.07 0.99
単位制 2,146 3,131 1.46 1.42 1.48 1.38 1.34
普通科計 24,157 35,137 1.45 1.44 1.45 1.42 1.47
商業科 795 812 1.02 0.96 0.85 0.83 0.97
ビジネス
コミュニケーション
231 256 1.11 0.97 1.04 1.12 1.15
工業科 1,584 1,252 0.79 0.74 0.85 0.91 1.00
工業科
(単位制)
108 87 0.81 0.57 0.61 0.54 0.55
科学技術科 252 383 1.52 1.84 1.97 1.65 1.59
農業科 413 477 1.15 1.17 1.09 1.12 1.06
家庭科 222 216 0.97 1.00 0.65 1.29 1.21
家庭科
(単位制)
49 55 0.12 0.94 0.61 1.12 1.04
福祉科 53 14 0.26 0.61 0.62 1.18 0.27
芸術科 112 216 1.96 1.72 2.16 1.99 2.05
体育科 52 59 1.13 1.35 0.96 1.31 1.38
国際科 98 237 2.42 2.85 2.60 1.68 2.18
水産科 42 45 1.07 0.67 1.33
理数科 68 169 2.49 3.66 4.59
併合科 105 18 0.17 0.21 0.16 0.09 0.20
産業科 274 294 1.07 1.01 1.13 1.24 1.08
専門学科計 4,458 4,593 1.03 1.01 1.04 1.04 1.09
総合学科 1,626 2,155 1.33 1.28 1.14 1.11 1.19
全日制計 30,241 41,885 1.39 1.37 1.37 1.35 1.40
昼間定時制 1,034 1,155 1.12 1.05 1.02 1.02 1.21
チャレンジスクール 1,230 1,698 1.38 1.42 1.22 1.18 1.41

※海外帰国学級募集分は除きます。
※昼間定時制とチャレンジスクールは1学年担当のみの数です。

男女合同募集の普通科の倍率は1.47倍で,前年度(1.46倍)より0.01ポイントアップしました。コース制,単位制普通科においても倍率が上がり,普通科全体では1.45倍,前年度(1.44倍)からわずかに上がりました。
専門学科では募集人員の3分の1を占める工業科が前年度の0.74倍から0.79倍へとアップ,商業科は0.96倍から1.02倍へアップした等,倍率アップとなる学科も見られたものの,農業科や科学技術科や家庭科等下がる学科も見られました。専門学科全体としては前年度の1.01倍から1.03倍へとアップしました。また,総合学科は3年連続で倍率がアップしており,1.3倍以上となるのは7年ぶりです。
また,昼間定時制の1.12倍は前年度(1.05倍)からアップ,チャレンジスクールは1.38倍で前年度(1.42倍)からダウンとなりました。

男女合同となった学年制普通科でもっとも高い倍率になったのは,豊島で2.27倍でした。豊島は前年度も男女ともに2倍を超えていました。2021年に新校舎になって以降,倍率は2倍を超えています。次いで広尾2.16倍,青山2.07倍,本所2.01倍,向丘が2.00倍と続きました。広尾は前年度男子2.06倍,女子は2.49倍と非常に高く,女子において最も倍率が高かった学校でした。
単位制普通科の新宿は2.42倍と高倍率となりました。2.4倍台は7年ぶりです。
総合学科のトップは前年度と同じく晴海総合で2.15倍でした。4年連続で増えています。次いで杉並総合が1.66倍となりました。

<一般入試最終応募倍率上位5校(普通科 コース,単位制,島しょ以外)>
  学校名 倍率
1位 豊島 2.27
2位 広尾 2.16
3位 青山 2.07
4位 本所 2.01
5位 向丘 2.00

男女合同募集の普通科の応募者数を学力レベル別に分けて集計した表を見ると次のようになります。
※偏差値数字は,弊社新教育研究協会Wもぎにおけるものです。
※偏差値毎の分類は,毎年数校の入替があります。そのため,これまでの同資料を見比べた際に,若干の数字の差異がありますのでご了承ください。

<普通科の最終応募者数の推移>
偏差値 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率
60~ 4,941 8,129 1.65 4,967 8,217 1.65 4,972 8,466 1.70 5,034 8,698 1.73
59~55 3,658 6,306 1.72 3,738 6,464 1.73 3,651 6,636 1.82 3,641 6,047 1.66
54~50 2,843 4,747 1.67 2,923 4,959 1.70 2,801 4,740 1.69 2,801 4,309 1.54
49~45 3,561 4,927 1.38 3,674 5,223 1.42 3,553 4,695 1.32 3,317 4,308 1.30
44~40 2,622 3,409 1.30 2,703 3,409 1.26 2,602 2,990 1.15 2,408 2,956 1.23
39~ 3,856 4,033 1.05 3,914 3,701 0.95 3,853 3,695 0.96 3,418 3,588 1.05
21,481 31,511 1.47 21,919 31,973 1.46 21,432 31,222 1.46 20,619 29,906 1.45

普通科全体として,応募者数は422人減っています。定員も438人の減なので,呼応した形となり,倍率自体は大きく変わっていません。2024年度では「60~」から「44~40」の層において,全て前年度と比べ応募者数が減(もしくは同じ)という状況です。特に「54~50」「49~45」の層についてはそれぞれ約200人,300人の減です。どの学力層でも安全志向が働いた結果,一段階下げて出願をした受検生が多かった可能性があります。それでも,「54~50」と「49~45」の間を境に応募倍率が大きく差が開いている傾向は変わっていません。

受検・合格者の状況

2月21日(水)の学力検査に臨んだ全日制の受検者数は前年度(39,608人)から554人少ない39,054人,受検倍率は1.29倍で前年度と同倍率でした。
応募はしたものの当日欠席した生徒は2,831人,応募者の6.8%で前年度(6.0%)から0.8%増えました。インフルエンザ等学校感染症罹患者を対象とした追検査の申請者数は全日制全体で64人,前年度は52人でした。前々年度は142人だったのでそれと比べると大幅減ですが,コロナ禍以前のような数には至っておりません。欠席者から追検査申請者を除いて計算すると棄権率は6.6%でした。同じ方法で前年度の棄権率を計算すると5.9%,体調不良等以外の理由で欠席した者の割合は増加しています。
全日制で定員割れになったのは,島しょの学校を除くと普通科(コース制・単位制含む)で13校(前年度25校),専門学科26校53学科(同31校54学科),総合学科2校(同0校)で,前年度から全体としては減少しています。

全日制39,054人の受検者の内,合格者数は28,994人,実質倍率(実質競争率)は1.35倍で前年度(1.35倍)と同倍率となりました。合格者の数は募集人員(30,241人)より1,247人少なく,募集人員と合格者の差は前年度(1,404人)から減少しました。
全日制全体の合格率は74.2%(前年度74.0%),不合格者数は前年度(10,289人)より229人減って10,060人となりました。
男女合同の募集となった普通科の実質倍率は1.39倍,合格率72.1%となりました。
前年度は男子1.42倍,70.4%/女子1.37倍,73.3%でした。男女それぞれ受検倍率が1.34倍・1.40倍で,男子の方が受検倍率が低かったにも関わらず実質倍率は上記のようになり,男女の合格率が逆転しました。これは男女別定員緩和措置の割合が10%から20%になったことによって合格者中の女子の割合が上がった学校が多数となったためです。
今年度は男女合同のため,内訳は不明ですが,都教育委員会の資料等が今後どのような発表のされ方になるのか注目です。

偏差値 合格率(%)
男女合計 男子 女子
2024 2023 2022 2021 2020 2023 2022 2021 2020
60~ 68.2 66.9 65.3 65.4 68.3 68.1 64.5 62.2 62.3
59~55 66.6 60.3 60.2 66.4 66.0 68.0 60.2 63.1 63.7
54~50 63.9 60.1 61.4 70.3 66.2 66.1 62.5 70.0 66.0
49~45 72.3 69.5 75.7 75.1 72.2 71.7 76.2 74.8 72.0
44~40 79.9 80.3 85.5 86.9 80.8 81.9 85.2 83.8 76.5
39~ 87.6 91.9 92.9 90.7 85.2 95.5 95.0 91.6 89.1

男女合同の普通科の合格率を学力別に見ると,最も合格率が低いのは「54~50」の層でした。これは前年度の男子と女子と共通しています。2022年度と比較すると,合格率が最も低いのは男女ともに「59~55」の層です。安全志向の傾向が見てとれます。さらには,「44~40」の合格率が下がっていることも注目です。つまり,その層にも移動が起きており,難易度が例年と比べ上がったことが考えられます。

コース制は実質倍率1.49倍,合格率67.16%(前年度1.32倍,76.0%),単位制普通科は1.34倍,74.56%(同1.37倍,73.0%)でコース制は競争率が上がり,単位制普通科は倍率が緩和されました。
一方,専門学科は商業科が1.05倍,95.27%(前年度1.01倍,98.7%)と3年連続で非常に高い合格率となった他,工業科(単位制を除く)1.09倍,91.9%(同1.06倍,94.6%),農業科1.15倍,86.8%(同1.12倍,89.2%),産業科1.09倍,91.93%(同1.03倍,97.2%)等,主な専門学科はいずれも昨年度より競争率が高くなりました。総合学科は1.27倍,78.97%(同1.22倍,81.8%)で前年度より厳しい入試となりました。

全日制の入学手続き者数は28,819人,辞退者は175人,辞退率は0.6%でした。

第二次募集・分割後期募集の入試状況

全日制第二次募集・分割後期募集の募集人員は前年度より171人少ない1,989人(前年度2,160人)でした。普通科では日比谷,上野,大崎,雪谷,葛西南,小平南(日比谷は2人,大崎は5人,その他の学校は二次募集数1人)で入学辞退者が生じ二次募集を実施しました。大森104人,五日市89人など大幅に欠員が生じた学校も目立っています。

この全日制の募集人員1,989人に対し応募者数は前年度より5人多い1,051人,倍率0.53倍で前年度(0.48倍)を上回りました。島しょおよびコース制,単位制普通科を除く全日制普通科では募集人員883人に対し応募者は783人で0.89倍(前年度0.80倍)と4年連続で1倍に達さなかったものの,倍率アップになりました。専門学科を見ると,商業科は募集人員55人に対し45人の応募があり0.82倍と前年度(1.00倍)から倍率ダウン。工業科は募集人員559人に対し応募者は143人,倍率0.26倍(前年度0.17倍)で倍率アップとなりました。 普通科では,日比谷が募集人員2人に対し39人の応募があり19.50倍,上野が1人に対し14人の応募があり14.00倍,その他日本橋1.55倍,竹台1.15倍,東村山1.48倍と,分割後期募集の学校は前年度と比較すると倍率が落ち着いた印象です。 全日制全体で願書を取り下げた人は80人で応募者の7.61%,前年度(106人,10.13%)より減りました。志願変更後の最終応募者数は1,061人,倍率は0.53倍(前年度:1054人,0.49倍)となりました。日比谷は1人の願書取り下げもなく19.50倍のまま,分割後期募集校では前年度30人の願書取り下げがあった竹台が願書取り下げ3人となり,その他日本橋1.55倍,竹台1.20倍,東村山1.38倍と応募締切時とあまり差はありませんでした。一方,応募締切時2.60倍だった青井は20人の願書取り下げ,最終応募倍率は1.60倍となりました。工業科は願書再提出が17人,最終応募倍率は0.28倍,前年度と同様に二次募集でも欠員が埋まりませんでした。