高校受験の基礎知識

東京都立 都立入試の状況

2023年度の都立高入試は前年度から引き続き,新型コロナウイルス感染症対策が求められる中での実施となりました。推薦入試は過去最低倍率を更新,一般入試は前年度と同倍率と,どちらも低調でした。
高倍率となる中堅校が続出する一方,受検者数が定員を大きく割り込む学校も目立ち,学力による倍率の格差が拡大しています。
また,男女別定員緩和措置の割合拡大によって,縮小していた男女の合格率の差が逆転しました。

今春の都立高入試が具体的にどのような入試だったのか振り返ってみましょう。

【推薦入試】

文化・スポーツ等特別推薦の入試状況

文化・スポーツ等特別推薦は延べ88校255種目891人の募集数で実施,応募人員は1,697人で応募倍率は1.90倍で,前年度(1.93倍)からややダウンとなりました。

特別推薦の特徴は次の通りです。

  • 応募倍率は高めで推移しているが,一般推薦よりは低い
  • 人気の高い種目は硬式野球やサッカーなど,運動系のメジャーな種目に偏り,中学校時代にはあまりなじみのない種目への応募者は非常に少ない
  • 特別推薦は一定水準以上の技能を持っていないと応募者数が募集人員の数より少なくても不合格になることがある

特別推薦と一般推薦の両方に出願した受検生は応募者の71.2%で,前年度(75.9%)からダウンしましたが,2020年度以前と比べるとまだ高い割合です。コロナ禍以降同時出願によって合格のチャンスを増やし,できるかぎり少ない受検機会で進学先を決めようと考える受検生が増えており,今回はその傾向が緩和されたものの継続していることがわかります。
もっとも応募倍率が高かったのは,小岩の「硬式野球」で9.50倍,次いで雪谷「硬式野球」8.67倍,東大和「バスケットボール」7.00倍,東「サッカー」6.67倍,江戸川「硬式野球」東大和「サッカー」の2校が6.50倍で並び,小平西「バスケットボール」6.33倍,深川「サッカー」5.67倍,保谷「サッカー」が5.50倍で続きます。
応募倍率が3倍以上となった38校12種目についてみると,サッカーが20校,硬式野球が15校,バスケットボールが6校と人気種目のベスト3は不動です。

一般推薦の入試状況

特別推薦含む推薦入試の全日制募集人員9,353人に応募者数は23,132人,倍率2.47倍で過去最低だった前年度(2.54倍)からさらに0.07ポイントダウンしました。

学科別応募倍率 2023 2022
普通科男子 2.60 2.69
普通科女子 3.20 3.25
コース制 2.04 2.57
単位制普通科 2.83 3.11
普通科計 2.87 2.96
商業科 1.39 1.38
ビジネスコミュニケーション 1.62 1.84
工業科 1.21 1.35
工業科(単位制) 0.78 0.95
科学技術科 1.57 1.61
農業科 1.99 1.99
水産科 1.29 1.95
家庭科 2.30 1.76
家庭科(単位制) 2.10 1.52
福祉科 1.50 1.70
理数科 1.50 2.00
芸術家 4.40 5.40
体育科 2.75 2.38
国際科 4.24 3.62
併合科 0.00 0.50
産業科 1.60 1.99
専門学科計 1.55 1.63
総合学科 2.21 2.08
全日制計 2.47 2.54
<推薦応募倍率の推移>

上の表にあるとおり,男女別募集の普通科男子2.60倍(前年度2.69倍),女子3.20倍(同3.25倍),コース制2.04倍(同2.57倍),単位制普通科2.83倍(同3.11倍)とそれぞれダウン,普通科全体では2.87倍(同2.96倍)と前年度より0.09ポイント下がりました。
専門学科では,商業科1.39倍(前年度1.38倍),農業科1.99倍(同1.99倍)等,前年度並みの倍率を保った学科や,家庭科2.30倍(同1.76倍),体育科2.75倍(同2.38倍)等,倍率アップとなった学科もあったものの,工業科1.21倍(同1.35倍),産業科1.60倍(同1.99倍)等,倍率ダウンとなった学科も多く,専門学科全体では1.55倍と前年度(1.63倍)から0.08ポイントダウンでした。一方,総合学科は2.21倍で前年度(2.08倍)から0.13ポイントアップでした。

次の表は,校長会予備調査時の都立志望者の内,どれくらいの割合で推薦入試に応募したのかを示した表です。集団討論が実施されなくなった2021年度には倍率が上がったものの,それ以外の年度では倍率ダウンが続いています。都立高校第一志望者が推薦入試に応募する出願率は全日制全体で47.3%,これは推薦応募倍率が今年度よりも高かった2019,2020年度よりも高い出願率であり,都立高志望率自体の低下が推薦応募倍率の低下につながっているとわかります。

  2023 2022 2021 2020 2019
普通科男子 40.7% 41.0% 44.8% 40.1% 39.3%
普通科女子 47.8% 48.0% 52.7% 47.8% 47.8%
コース制 68.5% 69.6% 74.0% 64.4% 59.5%
単位制普通科 43.7% 47.2% 50.2% 46.6% 44.5%
商業科 63.5% 66.9% 63.3% 55.8% 51.1%
工業科 61.5% 62.0% 64.3% 59.5% 55.8%
農業科 55.6% 61.4% 60.6% 55.6% 57.2%
家庭科 71.6% 68.9% 77.3% 65.5% 82.7%
総合学科 60.1% 63.9% 69.0% 62.2% 59.9%
全日制計 47.3% 48.2% 52.2% 47.1% 46.3%

男女別募集の普通科でもっとも高い倍率になったのは,男子は片倉で5.54倍,女子は鷺宮で6.42倍でした。
以下,次の表の通りです。

<推薦入試校倍率ベスト5>
男子 女子
学校名 倍率 学校名 倍率
1位 片倉 5.54 1位 鷺宮 6.42
2位 小岩 4.86 2位 西 5.80
2位 鷺宮 4.86 3位 富士森 5.52
4位 東大和 4.52 4位 小岩 5.32
5位 東村山 4.30 5位 広尾 5.00

単位制普通科は新宿が5.91倍でトップ,美原の3.75倍が続きました。
専門学科では,総合芸術「美術」が5.33倍でトップ,次いで工芸「デザイン」5.20倍,赤羽北桜「調理」4.90倍,総合芸術「舞台表現」4.42倍,国際「国際」4.24倍と続きました。

一方,応募者数が募集人員に達しない定員割れの学校・学科は19校31学科で前年度(14校21学科)から大幅に増えました。
全日制の受検者は23,062人,合格者数は9,161人で合格率は39.7%となって前年度(39.2%)からやや緩和しました。

実施2年目の立川(創造理数)の理数等特別推薦は,募集人員8人に対し,12人が受検し,合格者は5人,合格者数が定員を満たしませんでした。理数等特別推薦の選考は一般推薦とは異なり「各都立高校で定めた基準に達していると認められた者の中から合格候補者を決定する」とされており,立川高校の定めた基準に達した受検者が5人にとどまったものと考えられます。

  2023 2022 2021 2020 2019
普通科男子 38.0% 37.4% 34.8% 37.7% 38.4%
普通科女子 31.5% 31.1% 27.9% 30.1% 30.7%
コース制 49.0% 39.2% 44.7% 63.6% 47.0%
単位制普通科 35.4% 32.6% 31.8% 36.2% 36.2%
商業科 70.1% 73.5% 62.7% 59.3% 60.2%
工業科 72.8% 67.4% 64.7% 66.0% 57.4%
農業科 50.5% 49.6% 44.2% 51.4% 40.1%
家庭科 43.5% 57.4% 25.8% 37.3% 29.7%
総合学科 45.6% 48.4% 43.8% 47.0% 50.9%
全日制計 39.7% 39.2% 35.6% 38.7% 38.2%

【一般入試】

第一次募集・分割前期募集の入試状況

まとめ
  1. 一般入試の最終応募倍率は1.37倍で前年度と同倍率。専門学科減で,総合学科増。普通科は全体的に安全志向。
  2. 中堅校の倍率が大きく上がり,学力による倍率の二極化が拡大。
  3. 男女別定員緩和措置の割合拡大により男女の合格率が逆転。
出願状況

海外帰国学級募集分を除く一般募集人員30,723人に対し,出願締め切り時の応募者数は42,128人応募倍率1.37倍で前年度(1.37倍)と同倍率でした。
出願締め切り時で応募者が定員に達しなかった全日制の学校(島しょ除く,大島海洋国際含む)は,普通科(コース制・単位制含む)延べ26校(前年度28校),専門学科延べ29校52学科(同28校55学科),総合学科は1校(同3校)と,普通科,総合学科で減少しました。
願書差し替え状況を見ると,全日制で願書を取り下げた人は2,106人,応募者の5.0%で前年度(4.7%)からやや増加しました。この結果,普通科(コース制・単位制含む)21校(前年度26校),専門学科28校50学科(同27校51学科)が定員割れのまま残りました。2/7時点では総合学科で唯一定員割れだった町田総合は願書差し替えで11人の応募者増,応募者数が定員を超えました。総合学科の定員割れがなかったのは6年ぶりです。

全日制の最終的な応募者数は42,126人(海外帰国生除く)で,最終応募倍率は願書締め切り時と同じ1.37倍,これも前年度と同倍率でした。

学科 募集人員 応募人員 倍率 2022 2021 2020 2019
普通科男 11,470 16,681 1.45 1.46 1.43 1.49 1.50
普通科女 10,449 15,292 1.46 1.46 1.48 1.53 1.50
島嶼 307 130 0.42 0.37 0.38 0.42 0.43
コース制 224 328 1.46 1.58 1.07 0.99 1.39
単位制 2,146 3,048 1.42 1.48 1.38 1.34 1.40
普通科計 24,596 35,479 1.44 1.45 1.42 1.47 1.48
商業科 829 798 0.96 0.85 0.83 0.97 0.99
ビジネス
コミュニケーション
233 227 0.97 1.04 1.12 1.15 1.17
工業科 1,568 1,159 0.74 0.85 0.91 1.00 0.95
工業科
(単位制)
118 67 0.57 0.61 0.54 0.55 0.66
科学技術科 273 502 1.84 1.97 1.65 1.59 1.58
農業科 419 490 1.17 1.09 1.12 1.06 1.28
家庭科 222 223 1.00 0.65 1.29 1.21 1.36
家庭科
(単位制)
49 46 0.94 0.61 1.12 1.04 1.00
福祉科 51 31 0.61 0.62 1.18 0.27 0.42
芸術科 112 193 1.72 2.16 1.99 2.05 2.18
体育科 52 70 1.35 0.96 1.31 1.38 1.07
国際科 98 279 2.85 2.60 1.68 2.18 2.13
水産科 42 28 0.67 1.33
理数科 35 128 3.66 4.59
併合科 105 22 0.21 0.16 0.09 0.20 0.10
産業科 295 298 1.01 1.13 1.24 1.08 1.25
専門学科計 4,501 4,561 1.01 1.04 1.04 1.09 1.10
総合学科 1,626 2,088 1.28 1.14 1.11 1.19 1.15
全日制計 30,723 42,128 1.37 1.37 1.35 1.40 1.40
昼間定時制 1,034 1,083 1.05 1.02 1.02 1.21 1.14
チャレンジスクール 1,200 1,703 1.42 1.22 1.18 1.41 1.37

※昼間定時制とチャレンジスクールは1学年担当のみ。

男女別募集の普通科男子の倍率は1.45倍で前年度(1.46倍)より0.01ポイントダウン,女子1.46倍で前年度(1.46倍)と同倍率でした。コース制,単位制普通科はいずれも倍率ダウンで,普通科全体では1.44倍,前年度(1.45倍)からわずかに下がりました。
専門学科では商業科農業科等,倍率アップとなる学科も見られたものの,専門学科の募集人員の3分の1を占める工業科が前年度の0.85倍から0.74倍へとダウンし,専門学科全体としても前年度の1.04倍から1.01倍へとダウンしました。その一方,総合学科は過去最低倍率だった前々年度から2年連続の倍率アップ,1.2倍台となるのは5年ぶりです。専門学科から総合学科へと受験生が流れた形です。
また,昼間定時制1.05倍は前年度(1.02倍)からややアップ,チャレンジスクール1.42倍で前年度(1.22倍)から大幅なアップとなりました。

男女別募集の普通科でもっとも高い倍率になったのは,男子は今年度も日比谷で2.59倍,女子は広尾で2.49倍でした。
男子は次いで目黒2.29倍,調布南2.22倍,広尾2.06倍,府中が2.03倍,女子は鷺宮2.48倍,竹早2.20倍,豊多摩2.17倍,前年度トップの神代は2.13倍でした。
総合学科のトップは前年度と同じく晴海総合で1.83倍,次いで王子総合が1.61倍となりました。

<一般入試最終応募倍率ベスト5>
男子 女子
学校名 倍率 学校名 倍率
1位 日比谷 2.59 1位 広尾 2.49
2位 目黒 2.29 2位 鷺宮 2.48
3位 調布南 2.22 3位 竹早 2.20
4位 広尾 2.06 3位 豊多摩 2.17
5位 府中 2.03 5位 神代 2.13

男女別募集の普通科の応募者数を学力レベル(偏差値)別に分けて集計した表を見ると次のようになります。

<男女別募集の普通科男子の最終応募者数の推移>
男子 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率
60~ 2,595 4,175 1.61 2,585 4,393 1.70 2,614 4,478 1.71 2,644 4,488 1.70
55~ 1,393 2,338 1.68 1,353 2,403 1.78 1,380 2,227 1.61 1,411 2,311 1.64
50~ 1,857 3,227 1.74 1,788 3,039 1.70 1,748 2,618 1.50 1,765 2,826 1.60
45~ 1,647 2,380 1.45 1,557 2,130 1.37 1,472 2,018 1.37 1,536 2,228 1.45
40~ 1,919 2,472 1.29 1,858 2,255 1.21 1,714 2,039 1.19 1,796 2,303 1.28
30~ 2,059 2,089 1.01 2,008 2,002 0.99 1,777 1,883 1.06 1,869 2,211 1.18
11,470 16,681 1.45 11,149 16,222 1.46 10,705 15,263 1.43 11,021 16,367 1.49

男子は,60以上と55~59の層が応募者減,50~54,45~49,40~44,30台の層はいずれも応募者増となりました。どの学力層でも安全志向が働いた結果,55を境に応募者の増減が明確に分かれたものと考えられます。
特に60以上の層は200人以上の応募者減で,平均倍率1.61倍はこの学力層としては近年にない低さです。次ページで見る通り,この学力層の女子の応募者数は微減にとどまっており,中学1年次の休校措置以来の学力に対する不安感は男子において特に強かったのではなかろうかと推察されます。55以上の層の志望校選びが慎重になった結果,50~54の層で例年以上の高倍率の激戦となる学校が続出しました。55よりも下の層の中で30台の層の伸びが鈍いのは,この層では私立・通信制志向がさらに加速しているためと思われます。

<男女別募集の普通科女子の最終応募者数の推移>
女子 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率
60~ 2,372 4,042 1.70 2,387 4,073 1.71 2,420 4,220 1.74 2,456 4,305 1.75
55~ 1,271 2,187 1.72 1,249 2,301 1.84 1,283 2,268 1.77 1,317 2,288 1.74
50~ 1,696 2,901 1.71 1,649 2,929 1.78 1,618 2,537 1.57 1,638 2,712 1.66
45~ 1,502 2,303 1.53 1,437 2,026 1.41 1,363 1,940 1.42 1,427 2,110 1.48
40~ 1,753 2,247 1.28 1,716 1,978 1.15 1,589 1,973 1.24 1,665 2,290 1.38
30~ 1,855 1,612 0.87 1,854 1,693 0.91 1,641 1,705 1.04 1,732 1,974 1.14
10,449 15,292 1.46 10,292 15,000 1.46 9,914 14,643 1.48 10,235 15,679 1.53

女子は60以上の層の応募者が微減,55~59の層が100人以上の減,50~54の層は応募者数微減でしたが定員増のため倍率ダウン,45~49,40~44の層はそれぞれ200人以上の増,30台の層は約80人の減でした。
下降が続いていた60以上の層の倍率が下げ止まらなかったのは,やはり一斉休校以来の学力不安を引きずっているからだと言えるかもしれませんが,男子ほどその傾向は強くないようです。応募者増減の境目が男子よりも下の層になったのは,前年度50台の学校が特に高倍率となっていたため,それを避ける動きがあった結果だと考えられます。このような状況下にあっても30台の層の応募者減が止まらなかったのは,この層における私立・通信制志向が男子以上に加速していることを意味していると思われます。

受検・合格者の状況

2月21日(火)の学力検査に臨んだ全日制の受検者数は前年度(38,905人)より702人多い39,607人,受検倍率は1.29倍で前年度と同倍率でした。
応募はしたものの当日欠席した生徒は2,521人,応募者の6.0%で前年度(5.9%)からやや増えました。インフルエンザ等学校感染症罹患者を対象とした追検査の申請者数は全日制全体で52人,前年度(142人)からは大幅に減りましたが,前々年度(14人)までと比べると依然多く,コロナ禍の影響は続いています。欠席者から追検査申請者を除いて計算すると棄権率は5.9%でした。同じ方法で前年度の棄権率を計算すると5.6%,体調不良等以外の理由で欠席した者の割合は増加しています。
全日制で定員割れになったのは,島しょの学校を除くと普通科(コース制・単位制含む)で25校(前年度27校),専門学科31校54学科(同30校56学科),総合学科0校(同4校)で,前年度か

全日制39,607人の受検者の内,合格者数は29,319人,実質競争率は1.35倍で前年度(1.36倍)から0.01ポイントダウンしました。合格者の数は募集人員(30,723人)より1,404人少なく,募集人員と合格者の差は前年度(1,561人)からやや減少しました。
全日制全体の合格率は74.0%(前年度73.6%),不合格者数は前年度(10,262人)より26人増えて10,288人と多くの受検生が涙を呑んでいます。
男女別募集の男子の実質倍率は1.42倍,合格率70.4%(前年度1.39倍,71.7%),女子1.37倍,73.3%(同1.40倍,71.3%)で男女の合格率が逆転しました。合格者数は男子10,825名,女子10,726名(前年度:男子10,754名,女子10,277名),合格者数の男子:女子の比は前年度の51.1:48.9から50.2:49.8へと,女子の割合が増えました。受検倍率では男子の方が低かったにもかかわらずこのような結果になったのは,男女別定員緩和措置の割合が10%から20%になったことによって合格者中の女子の割合が上がった学校が多数となったためです。

コース制は実質倍率1.32倍,合格率76.0%(前年度1.42倍,70.3%),単位制普通科1.37倍,73.0%(同1.39倍,71.7%)で前年度からやや緩和されました。
一方,専門学科は商業科1.01倍,98.7%(前年度1.00倍,99.8%)と2年連続で非常に高い合格率となった他,工業科1.06倍,94.6%(同1.09倍,91.4%),農業科1.12倍,89.2%(同1.15倍,86.9%),産業科1.03倍,97.2%(同1.06倍,94.0%)等,主な専門学科はいずれも高い合格率となりました。総合学科1.22倍,81.8%(同1.13倍,88.7%)で前年度より厳しい入試となりました。

SS 男子合格率 女子合格率
2023 2022 2021 2020 2019 2023 2022 2021 2020 2019
60~ 66.9 65.3 65.4 68.3 65.9 68.1 64.5 62.2 62.3 64.8
55~ 60.3 60.2 66.4 66.0 61.8 68.0 60.2 63.1 63.7 63.8
50~ 60.1 61.4 70.3 66.2 63.9 66.1 62.5 70.0 66.0 66.7
45~ 69.5 75.7 75.1 72.2 70.4 71.7 76.2 74.8 72.0 68.9
40~ 80.3 85.5 86.9 80.8 78.4 81.9 85.2 83.8 76.5 77.0
30~ 91.9 92.9 90.7 85.2 92.1 95.5 95.0 91.6 89.1 92.1

男女別普通科の合格率を学力別に見ると,最も合格率が低いのは男女ともに50~54の層でした。女子は55~59の方が高い受検倍率でしたが,50~54の層の男子の受検倍率が高かったため女子の合格者数が55~59の層ほど伸びませんでした。前年度は男女いずれも55~59の層の合格率が最も低く,激戦となった層がひとつ下がった形です。それでも50~54の層と45~49の層の合格率の差は男子9.4ポイント(前年度14.5ポイント),女子5.6ポイント(前年度14.0ポイント)とそれぞれ縮まり,前年度高倍率だった50台の学校を避けて40台の学校へと流れた様子がここからもうかがえます。
男女の合格率の差が最も大きかったのは55~59の層で,女子が男子よりも7.6ポイント高くなりました。この層の11校のうち,男子の合格者数が定員の9割に満たなかったのは5校,男女別定員によって確保されていた男子の合格者が20%の緩和措置によって大きく削られました。

全日制の入学手続き者数は29,178人,辞退者は141人,辞退率は0.5%でした。

第二次募集・分割後期募集の入試状況

全日制第二次募集・分割後期募集の募集人員は前年度より129人少ない2,160人(前年度2,289人)でした。普通科では小山台,桜町(いずれも二次募集数1人)で入学辞退者が生じ二次募集を実施しました。大森93人,羽村88人(うち分割後期募集定員20人),五日市86人など大幅に欠員が生じた学校も目立っています。
この全日制の募集人員2,160人に対し応募者数は前年度より264人多い1,046人,倍率0.48倍で前年度(0.34倍)を上回りました。島しょを除く男女別募集の普通科では募集人員965人に対し応募者は772人で0.80倍(前年度0.54倍)と3年連続で1倍に達さなかったものの,大幅な倍率アップになりました。専門学科を見ると,商業科は募集人員75人に対し75人の応募があり1.00倍と前年度(0.36倍)から大幅な倍率アップとなったのに対し,工業科は募集人員637人に対し応募者は111人,倍率は0.19倍(前年度0.16倍)でした。
普通科では,小山台が募集人員1人に対し28人の応募があり28.00倍,その他日本橋3.60倍,竹台3.30倍,東村山3.15倍と,分割後期募集の学校でも高倍率となりました。
願書を取り下げた人は106人で応募者の10.1%,前年度(53人,6.8%)より増えました。志願変更後の最終応募者数は1,054人,倍率は0.49倍(前年度:802人,0.35倍)となりました。小山台は1人の願書取り下げもなく28.00倍のまま,分割後期募集校では願書取り下げが相次ぎ,日本橋1.80倍,竹台1.95倍,東村山2.10倍と応募締切時より倍率が下がった一方,応募締切時2.48倍だった田園調布は2人の願書取り下げにとどまり,最終応募倍率は2.38倍となりました。工業科は願書再提出が11人,最終応募倍率は0.19倍,二次募集でも欠員が埋まりませんでした。