高校受験の基礎知識

東京都立 推薦入試のしくみ

都立推薦入試のしくみ

推薦入試には, 「文化・スポーツ等特別推薦」と「一般推薦」がありますが,どちらも学力検査は行いません。全員が集団討論と個人面接を受けます。また作文または小論文,実技検査などから 1 つ以上の検査も課せられます。文化・スポーツ等特別推薦では実技検査を実施する学校が多くなっています。
各校は,調査書,集団討論・個人面接,作文や小論文などの結果を点数化し,その合計点(これを「総合成績」といいます)の高い者から順に合格者を決めていきますが,総合成績に占める調査書点の割合は50%までと制限されています。
調査書点は「観点別学習状況の評価」か「 5 段階の評定」のどちらかを点数化します。平成30年度入試では,エンカレッジスクール, ビジネスコミュニケーション科の高校の7校が「観点別学習状況の評価」を調査書点として活用しています。全体の 1割にもなりません。
これらの7校以外は, 5段階の評定を使っているので,調査書点イコール評定が使われる,と考えていいでしょう。

「観点別学習状況の評価」を調査書点にする学校

一般推薦の例(日比谷)
調査書 集団討論
個人面接
小論文 総合成績
観点か評定か 調査書点
評定 450 200 250 900
文化・スポーツ等特別推薦の例(片倉・吹奏楽)
調査書 面接点 実技検査 総合成績
観点か評定か 調査書点
評定 450 200 400 1,050

平成30年度の各校の配点状況はこちら

【推薦入試のポイント】

ほとんどの学校が調査書点を上限の50%に設定しています。
そのため集団討論・個人面接や作文・小論文の結果が合否に大きく影響します。
都立推薦入試に挑戦する場合は、集団討論や作文・小論文対策が必要になります。

推薦枠

推薦入試では、普通科、商業科、など学科によって、推薦入試の募集数が決まっています。普通科、商業に関する学科のうちの商業科の場合は、全体の20%以内となっています。ただし、コース制、エンカレッジスクールは30%以内となっています。

立川高校の例
転勤枠を除いた
全体の募集数
推薦入試の募集数 一般入試の募集数
男子 165 33 132
女子 151 30 121

また、商業に関する学科のうちの商業科以外の専門学科、総合学科は全体の30%以内となっています。

推薦入試の倍率が高くなるわけ

推薦入試状況にあるように、応募倍率が2倍、3倍、4倍になるのが当たり前なのが推薦入試。なぜそのような高い倍率になるのでしょうか。その理由は2つあります。

①学力検査がなく、早い時期に合否が決まるから
②普通科は募集枠が狭く、そこに応募者が殺到するから

普通科の募集枠は全体の20%以内です。その狭い枠に、応募者が殺到するため、倍率が高くなります。上記の立川高校の例でいうと、今春この男子の募集枠33人に98人が応募し倍率は2.97倍、女子は30人の募集に113人が応募、倍率は3.77倍となっています。

出願

推薦入試を受けてみようと考えても誰でも受けることができるわけではありません。「文化・スポーツ等特別推薦」も「一般推薦」も必ず中学校の校長先生の「推薦書」が必要になります。
また、その志望校が第一志望でなければ受検できません。したがって、合格したら必ず入学しなければならないのです。以上のことを承知した上で受けるかどうか考えてみましょう。そして受けようと思ったら、まず担任の先生に相談しましょう。
文化・スポーツ等特別推薦に志願する人は、同時に同じ高校の一般推薦にも出願できます(ただし、受検料は2回分必要です)
出願は、「入学願書」「自己PRカード」「調査書」、一般推薦の場合は「一般推薦書」、文化・スポーツ等特別推薦の場合は「文化・スポーツ等特別推薦書」を志願する高校に提出します。
文化・スポーツ等特別推薦と一般推薦の両方に出願する場合は、両方の推薦書が必要です。入学願書と自己PRカードは1部のみ提出します。

志望の順位

志望するときは、○○高校の○○学科を第一志望として志望すると願書に書きますが、その同じ高校の中にいくつかの学科がある場合は、第二志望の学科を指定することができます。

ただし、工業科の機械科や電気科、電子科や農業科の園芸科、食品科など、同じ学科の中で第二志望を指定できるということなので、農業科の学科を第一志望として、家庭科の学科を第二志望とすることはできません。

この場合、工業科、農業科、家庭科を「大学科」といい、機械科、電気科、電子科、園芸科、食品科などを「小学科」といいます。

第二志望の指定は、大学科の中だけで認められ、その高校の異なる大学科の小学科を第二志望とすることはできないということです。なお、外国語コースや造形美術コースは普通科ですが、大学科として扱っており、普通科を第一志望として、コースを第二志望とすることはできないとしています。

下に、具体的な例をあげていますのでご覧ください。

志望校 第一志望 第二志望 志望の可否
蔵前工業 建築 機械 両方とも工業科。逆も可
瑞穂農芸 園芸科学 畜産科学 両方とも農業科。逆も可
瑞穂農芸 食品 生活デザイン 食品は農業科、生活学科は家庭科のため。逆も✕
田柄 普通 外国語 普通科とコースは異なる学科として扱うため。逆も✕
六郷工科 プロダクト デュアルシステム プロダクト、オートモビル、システム、デザインの中では第二志望の指定はできるが、
デュアルシステムは異なる学科として扱うため。逆も✕(デュアルシステム科設置校のうち六郷工科高校のみの取り扱い)

自己PRカード

自己PRカードは点数化されることはありませんが、面接の際は自己PRカードをもとに質問されますから記入したことはコピーを取ってしっかりと覚えておく必要があります。
記入するときのアドバイスが、東京都教育委員会で紹介されていますので参考にしてはいかがでしょうか。

自己PRカード記入上のアドバイス

集団討論・個人面接

都立高推薦入試では、原則として集団討論と個人面接を実施します(エンカレッジスクール除く)。集団討論は、5~7人程度のグループで約30分程度、ひとつのテーマについて討論を行います。個人面接は、集団討論とは別に行われ、ひとり10分程度です。
集団討論と個人面接のポイントは次の通りです。

  • コミュニケーション能力
    自分の意見を分かりやすく人に伝える力、他人の意見を正しく理解できる力
  • 思考力・判断力・表現力
    さまざまな知識を組み合わせて論理的に考える力(思考力)、他人の意見を元に新しい自分の意見をまとめる力(判断力)、自分の意見を適切な表現で分かりやすく伝える力(表現力)
  • 協調性・積極性・リーダーシップ
    他人の意見をよく聞き、理解しようとする姿勢(協調性)、その場に応じて積極的に述べる(積極性)、テーマに沿った方向で話し合いを進めることができる(リーダーシップ)

作文・小論文

都立推薦入試では、作文・小論文、実技検査などから必ずひとつ以上の検査を実施することになっています。その中で、作文を実施する学校が圧倒的に多く約7割、小論文実施校は約2割、残りが実技検査となっています。

作文・小論文の配点は調査書や集団討論・面接と比較して低いところが多くなっていますが、調査書点では差が付きにくい学力上位校を中心に作文・小論文点が合否に影響を及ぼすこともあります。

調査書点はどうやって点数化するのか

調査書を点数化する際には,観点別学習状況の評価か5段階の評定かのどちらかを調査書点とします。ここではさらに詳しく具体的な計算方法を見ていきましょう。

【観点別学習状況の評価を調査書点とする場合】

観点別学習状況の評価を調査書点とする場合は, Aは10点, Bは5点, Cは1点というようにABCを点数化していきます。また、特定の観点や特定の教科の配点を変えることもできます。 「関心・意欲・態度」のAを20点,他の観点のAは15点や,英語のみAを20点、Bを10点、Cを5点にし、他の教科のAを10点にする、というように特定の観点や特定の教科の配点を変えることもできます。

<大田桜台高校の例>をご覧ください。

大田桜台は英語の配点を高く設定しています。この点数化した観点の満点 (Aの合計点)を調査書点に換算します。すると、大田桜台の観点の満点は325点で、調査書点の満点は650点と満点が異なっています。そこで,受検生の調査書点を計算するときには次の計算式で求めることになっています。

<観点別評価を調査書点とする場合の計算式>

このようにして調査書点を求め,集団討論・個人面接と作文・小論文などを実施した場合はその点数を加えたのが総合成績となります。

【5段階の評定を調査書点とする場合】

5段階の評定を調査書点とする場合は、観点別学習状況の評価を調査書点とする場合のように、特定の教科の配点を高くすることはできません。また、一般入試の調査書点のように、実技教科を2倍するということもありません。
すべて単純に合計した数値を調査書点に換算します。 5段階で9教科ありますから,オール5は45点満点となります。この単純に合計したものを次の式に当てはめて受検生の調査書点を計します。

<観点別評価を調査書点とする場合の計算式>

「推薦入試のしくみ」で日比谷の例をあげました。日比谷の調査書点の満点は450点です。評定の満点は45点,これを450点にするので, 評定の1ポイントは10点になるということです。このようにして調査書点を求め,集団討論・集団面接と作文・小論文などを実施した場合はその点数を加えたのが総合成績となります。

もっと詳しく「合否の決め方」

合否は総合成績の高い者から順に、募集人数までを合格としていきます。
男女別募集の普通科の場合、もし男子の合格者数が募集人数に達しなかったら、女子の合格者を増やして(その逆もあります)、学校全体の募集数と一致するようにします。
たとえば、下の表のような場合は男子の応募者全員が合格しても募集人数に達しないため、女子の合格者を増やして学校全体の募集数に合わせています。

募集人員 応募 倍率 合格
男子 29 27 0.93 27
女子 26 40 1.54 28
合計 55 67 1.22 55

この場合、男子は全員合格していますが、都立高入試では成績よりも定員まで合格させることが優先されるため、男子の27番目の生徒の総合成績が極端に悪くても合格します。
これは一般入試でも同様です。
ただ「文化・スポーツ等特別推薦」だけは、応募者が募集数に達していなくても技能が一定のラインに達していなければ不合格となり、募集数の不足分は一般推薦に上乗せされます。