高校受験の基礎知識

東京都立 都立入試の状況

前年度,都立高入試は,推薦入試で「集団討論」が実施された高校が一部ありました。また,大きなトピックとして男女合同定員としての選抜がなされました。前年度に授業料無償化の所得制限の撤廃が発表され,そのことが周知されての今年度の都立高入試であったと思われます。集団討論では実施校に変更があり,男女合同定員での入試が2年目となりました。英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR3)は3年目を迎えました。今年度の入試を振り返ります。

【推薦入試】

文化・スポーツ等特別推薦の入試状況

文化・スポーツ等特別推薦は延べ90校261種目907人の募集数で実施,応募人員は1,729人で,応募倍率は1.91倍,前年度(2.07倍)から0.16ポイント下がりました。

特別推薦の特徴は次の通りです。

  • 応募倍率は高めで推移しているが,一般推薦よりは低い
  • 人気の高い種目は硬式野球やサッカーなど,運動系のメジャーな種目に偏り,中学校時代にはあまりなじみのない種目への応募者は非常に少ない
  • 特別推薦は一定水準以上の技能を持っていないと応募者数が募集人員の数より少なくても不合格になることがある

特別推薦と一般推薦の両方に出願した受検生は応募者の71.0%でした。直近2年は71.2%→74.4%という割合で,前年度からは3.4%下がりました。2021年度以降比較的高い割合で推移しています。コロナ禍以降同時出願によって合格のチャンスを増やし,できるかぎり少ない受検機会で進学先を決めようと考える受検生が増えており,今回はその傾向が継続していることがわかります。
もっとも応募倍率が高かったのは,東久留米総合「サッカー」で8.60倍でした。次いで東大和「サッカー」7.00倍南葛飾「サッカー」6.20倍雪谷「硬式野球」5.67倍松が谷(普通科)「陸上競技」,清瀬「ソフトテニス」2校が5.50倍東村山「バドミントン」5.00倍でした。前年度は5.50倍以上の学校は12校ありましたが,今年度は6校と半分になっています。

応募倍率が3倍以上となった35校12種目についてみると,サッカーが14校,バスケットボールが11校,硬式野球が8校と人気種目のベスト3は不動です。

理数等特別推薦の入試状況

理数等特別推薦は2校16人の募集数で実施,応募者は14人で,応募倍率が1倍を初めて切り0.88倍でした。科学技術が創造理数科を開設し2年目となりましたが,0.63倍という倍率でした。推薦定員を満たす合格者が必ずしも出るわけではないため,非常に難易度が高いのかと思われます。合格者は2校で8名,残り8名の枠は第一次募集・分割前期の枠となりました。

一般推薦の入試状況

9,407人に対し応募者数は21,467人,倍率2.28倍で過去30年間の中で最も低い倍率となりました。(前年度は2.48倍。約2,000人が応募をしていない)

学科別応募倍率 2025 2024
普通科男子 2.61
※男女問わず
2.87
※男女問わず
普通科女子
コース制 1.91 2.64
単位制普通科 2.64 2.97
普通科計 2.60 2.87
商業科 1.44 1.44
ビジネスコミュニケーション 1.55 1.58
工業科 1.23 1.25
工業科(単位制) 1.00 1.18
科学技術科 1.17 1.38
農業科 2.06 1.84
水産科 1.93 1.71
家庭科 1.92 2.11
家庭科(単位制) 1.90 1.90
福祉科 1.85 0.90
理数科 0.88 1.25
芸術科 4.13 4.90
体育科 3.50 2.71
国際科 2.95 3.67
併合科 0.00 0.00
産業科 1.47 1.67
専門学科計 1.52 1.56
総合学科 2.24 2.29
全日制計 2.28 2.48
<推薦応募倍率の推移>

2.61倍(前年度2.87倍)で0.26ポイント下がりました。コース制1.91倍(同2.64倍),単位制普通科2.64倍(同2.97倍)とこちらもそれぞれ下がり,普通科全体では2.60倍(同2.87倍)と,前年度に比べ0.27ポイントダウンとなりました。
専門学科において,前年と同じもしくは上がったのは,全部で6学科です。商業科1.44倍(前年度と同じ),農業科2.06倍(前年度1.84倍),水産科1.93倍(前年度1.71倍),家庭科(単位制)1.90倍(前年度と同じ),福祉科1.85倍(前年度0.90倍),体育科3.50倍(前年度2.71倍)の6つです。他は工業科(単位制以外)1.23倍(同1.25倍),工業科(単位制)1.10倍(同1.18倍)等,全て倍率ダウン,専門学科全体では1.52倍と前年度(1.56倍)から0.04ポイント下がりました。また,総合学科でも2.24倍で前年度(2.29倍)から0.05ポイント下がりました。総合学科は2年連続で上がっていましたが,今年度は全体の傾向と同じ流れになりました。

次の表は,校長会予備調査時の都立志望者の内,どれくらいの割合で推薦入試に応募したのかを示した表です。集団討論が実施されなくなった2021年度には倍率が上がったものの,それ以外の年度では倍率ダウンが続いています。都立高校第一志望者が推薦入試に応募する出願率は全日制全体で47.5%,これは推薦応募倍率が今年度よりも高かった2020年度よりも高い出願率であり,都立高志望率自体の低下が推薦応募倍率の低下につながっているとわかります。

  2025 2024 2023 2022 2021
普通科男子 44.0% 44.5% 40.7% 41.0% 44.8%
普通科女子 47.8% 48.0% 52.7%
コース制 67.8% 69.5% 68.5% 69.6% 74.0%
単位制普通科 44.8% 45.8% 43.7% 47.2% 50.2%
商業科 64.7% 63.5% 63.5% 66.9% 63.3%
工業科 60.5% 62.7% 61.5% 62.0% 64.3%
農業科 60.5% 59.0% 55.6% 61.4% 60.6%
家庭科 63.7% 66.2% 71.6% 68.9% 77.3%
総合学科 61.4% 60.1% 60.1% 63.9% 69.0%
全日制計 47.5% 47.6% 47.3% 48.2% 52.2%

※上記工業科・家庭科は単位制を除きます。

以下は推薦入試校倍率が高い上位5校です。

<推薦入試校倍率ベスト5>
  学校名 倍率
1位青山4.25
2位三田4.08
3位駒場4.07
4位南葛飾4.07
5位豊島4.00

駒場と南葛飾は4.07倍で同率3位となりました。
単位制普通科では新宿は75人減ですが,それでも5倍以上の高倍率です。大泉桜は31人増,過去10年で2番目に高い倍率となりました。総合学科では,杉並総合3.17倍,晴海総合2.88倍と続きました。前年度と同じ上位2校でしたが,倍率の高さで入れ替わりました。杉並総合の3倍超えは7年振り,晴海総合は過去10年で2番目に高い応募倍率となりました。
専門学科では,工芸「デザイン」5.10倍でトップ,次いで総合芸術「美術」が5.08倍,駒場「体育」5.00倍,瑞穂農芸「畜産科学」3.90倍,工芸「グラフィックアーツ」3.80倍,園芸「動物」3.60倍と続きました。定員が少ないため,年によって入れ替わりが目立つ専門学科ですが,総合芸術の美術,工芸のデザイン・グラフィックアーツ,園芸の動物は前年度も上位に入っていました。
応募者数が募集人員に達しない定員割れの学校・学科は17校24学科で,前年度(15校22学科)から少し増えました。
全日制の受検者は21,404人,合格者数は9,243人で合格率は43.2%となって前年度と比べ3.5%あがりました。
2年目の実施となった科学技術「創造理数」の理数等特別推薦は,募集人員8人に対し,5人が応募し,合格者は3人,合格者数が定員を満たしませんでした。実施4年目の立川「創造理数」でも同様の現象が起きています。募集人員8人に対し,9人が受検,合格者は5人という結果でした。非常に難しい推薦入試となっています。理数等特別推薦の選考は一般推薦とは異なり「各都立高校で定めた基準に達していると認められた者の中から合格候補者を決定する」とされているので,定員を満たしていなくとも不合格になる可能性があるということになります。

  2025 2024 2023 2022 2021
普通科男子 38.3% 34.8% 38.0% 37.4% 34.8%
普通科女子 31.5% 31.1% 27.9%
コース制 52.5% 37.9% 49.0% 39.2% 44.7%
単位制普通科 37.6% 33.8% 35.4% 32.6% 31.8%
商業科 69.6% 69.6% 70.1% 73.5% 62.7%
工業科 70.9% 68.9% 72.8% 67.4% 64.7%
農業科 48.5% 54.3% 50.5% 49.6% 44.2%
家庭科 52.2% 47.4% 43.5% 57.4% 25.8%
総合学科 45.0% 43.8% 45.6% 48.4% 43.8%
全日制計 43.2% 39.7% 39.7% 39.2% 35.6%

※上記工業科・家庭科は単位制を除きます。

【一般入試】

第一次募集・分割前期募集の入試状況

まとめ
  1. 一般入試の最終応募倍率は1.29倍で前年度より0.1ポイントダウン。いずれの学科もダウンが多い。
  2. 受検倍率は1.20倍で前年度より0.09ポイントダウン。
  3. 実質倍率は1.27倍で前年度から0.08ポイントダウン。不合格者の数は前年度より減。
出願状況

一般募集人員29,976人(海外帰国学級募集分を除く)に対し,出願締め切り時(2月7日)の応募者数は38,611人,応募倍率1.29倍で前年度(1.39倍)より0.1ポイント下がっています。
出願締め切り時で応募者が定員に達しなかった全日制の学校(島しょ除く,大島海洋国際含む)は,普通科(コース制・単位制含む)延べ27校(前年度16校),専門学科延べ27校41学科(同29校49学科),総合学科は2校(同4校)と,普通科で大きく増えました。
願書差し替え(2月12日〆切)状況を見ると,全日制で願書を取り下げた人は1,747人,応募者の4.5%で前年度(5.1%)から減少しました。この結果,最終応募時で応募者が定員に達しなかった全日制の学校(島しょ除く,大島海洋国際含む)は普通科(コース制・単位制含む)延べ25校(前年度8校),専門学科延べ28校41学科(同28校46学科),総合学科は2校(同0校)が定員割れのまま残りました。

全日制の最終的な応募者数は38,591人(海外帰国生除く),最終応募倍率は1.29倍で,ともに願書締め切り時と同じ結果となりました。

学科 募集人員 応募人員 応募倍率 2024 2023 2022 2021
普通科 男子 21,255 28,843 1.36 1.47 1.45 1.46 1.43
普通科 女子 1.46 1.46 1.48
島嶼 307 110 0.36 0.30 0.42 0.37 0.38
コース制 224 276 1.23 1.63 1.46 1.58 1.07
単位制 2,151 2,883 1.34 1.46 1.42 1.48 1.38
普通科計 23,937 32,112 1.34 1.45 1.44 1.45 1.42
商業科 792 777 0.98 1.02 0.96 0.85 0.83
ビジネス
コミュニケーション
231 245 1.06 1.11 0.97 1.04 1.12
工業科 1,575 1,231 0.78 0.79 0.74 0.85 0.91
工業科(単位制) 96 68 0.71 0.81 0.57 0.61 0.54
科学技術科 252 319 1.27 1.52 1.84 1.97 1.65
農業科 413 536 1.30 1.15 1.17 1.09 1.12
家庭科 222 193 0.87 0.97 1.00 0.65 1.29
家庭科(単位制) 49 44 0.90 0.12 0.94 0.61 1.12
福祉科 50 32 0.64 0.26 0.61 0.62 1.18
芸術科 112 200 1.79 1.96 1.72 2.16 1.99
体育科 52 85 1.63 1.13 1.35 0.96 1.31
国際科 98 181 1.85 2.42 2.85 2.60 1.68
水産科 42 46 1.10 1.07 0.67 1.33
理数科 72 230 3.19 2.49 3.66 4.59
併合科 105 11 0.10 0.17 0.21 0.16 0.09
産業科 252 245 0.97 1.07 1.01 1.13 1.24
専門学科計 4,413 4,443 1.01 1.03 1.01 1.04 1.04
総合学科 1,626 2,036 1.25 1.33 1.28 1.14 1.11
全日制計 29,976 38,591 1.29 1.39 1.37 1.37 1.35
昼間定時制 1,000 1,038 1.04 1.12 1.05 1.02 1.02
チャレンジスクール 1,400 2,045 1.46 1.38 1.42 1.22 1.18

※海外帰国学級募集分は除きます。
※昼間定時制とチャレンジスクールは1学年担当のみの数です。

男女合同募集の普通科の倍率は1.36倍で,前年度(1.47倍)より0.11ポイントの大幅ダウンとなりました。コース制,単位制普通科においても倍率は下がり,普通科全体では1.34倍,前年度(1.45倍)から大幅に下がりました。
専門学科では農業科は1.30倍で前年度(1.15倍)より0.15ポイント上がりました。他,水産科,福祉科,理数科,体育科があがっています。募集人員の3分の1を占める工業科は前年度の0.79倍から0.78倍へとダウン,商業科は1.02倍から0.98倍へダウン等,先にあげた学科以外は全て応募倍率が下がっています。専門学科全体としては前年度の1.04倍から1.01倍へとダウンしました。また,総合学科でも前年度の1.33倍から1.25倍にダウンしました。
また,昼夜間定時制の1.04倍は前年度(1.12倍)からダウン,チャレンジスクールは1.46倍で前年度(1.38倍)から0.08ポイントアップとなりました。立川緑の応募者数の影響が出ています。

男女合同となった学年制普通科でもっとも高い倍率になったのは,豊多摩で2.13倍でした。次いで前年度トップの豊島2.12倍,戸山2.09倍,日比谷2.00倍と続き,応募者数は500人を超えています。豊島は2021年に新校舎になって以降,倍率は2倍を超えています。

単位制普通科の新宿は4年振りに2倍を切りました。芦花が2.02倍でトップとなりました。同校は2年連続で2倍を超えています。
総合学科のトップは杉並総合で1.69倍となりました。4年連続で応募者数が増えています。晴海総合は1.67倍に下がりはしましたが,応募者数は300人を超えており,厳しい入試となります。

<一般入試最終応募倍率上位5校(普通科 コース,単位制,島しょ以外)>
  学校名 倍率
1位豊多摩2.13
2位豊島2.12
3位戸山2.09
4位日比谷2.00
5位神代1.98

男女合同募集の普通科の応募者数を学力レベル別に分けて集計した表を見ると次のようになります。
※偏差値数字は,弊社新教育研究協会Wもぎにおけるものです。
※偏差値毎の分類は,毎年数校の入替があります。そのため,これまでの同資料を見比べた際に,若干の数字の差異がありますのでご了承ください。

<普通科の最終応募者数の推移>
偏差値 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率 定員 応募 倍率
60~5,0988,2241.615,1308,5001.655,1588,6271.655,1638,9001.70
59~553,4325,5221.613,4695,9181.723,5475,9851.733,4606,2081.82
54~503,8265,6181.473,8506,2531.673,9666,6341.703,8136,0711.69
49~453,1554,0091.273,1854,3521.383,2984,5761.423,1784,2141.32
44~401,9632,2461.141,9912,4951.302,0362,4501.261,9652,1341.15
39~3,7813,2240.853,8564,0331.053,9143,7010.953,8533,6950.96
21,25528,8431.3621,48131,5511.4721,91931,9731.4621,43231,2221.46

普通科全体として,定員は226人の減ですが,それ以上に最終応募者が2708人の大幅減となっています。倍率は大きく下がりました。2025年度では全ての学力層において,前年度と比べ応募者数が減っています。特に「54~50」「39~」の層についてはそれぞれ約630人,約800人の減,大きな学力層の移動がありました。私立単願で進学先を決定した受検生が多かった,ないしはどの学力層でも安全志向が働いた結果,一段階下げて出願をした可能性があります。それでも,志望予定調査時同様に「54~50」と「49~45」の間を境に応募倍率が大きく差が開いている傾向は変わっていません。

受検・合格者の状況

2月21日(金)の学力検査に臨んだ全日制の受検者数は前年度(39,054人)から3,177人少ない35,877人,受検倍率は1.20倍で前年度より0.09ポイント低く,過去30年内で最も低い倍率です。
応募はしたものの当日欠席した生徒は2,714人,応募者の7.0%で前年度(6.8%)から0.2%増えました。インフルエンザ等学校感染症罹患者を対象とした追検査の申請者数は全日制全体で20人,前年度は64人でした。コロナ禍(令和4年度入試)では142人だったのでそれと比べると大幅減です。コロナ禍以前のような数に次第に戻ってきています。(令和2年度4人/令和3年度14人)

全日制で定員割れになったのは,島しょの学校を除くと普通科(コース制・単位制含む)で27校(前年度13校),専門学科28校47学科(同26校53学科),総合学科3校(同2校)で,前年度から全体としては増加しています。

全日制35,877人の受検者の内,合格者数は28,188人,実質倍率(実質競争率)は1.27倍で前年度(1.35倍)より0.08ポイントダウンとなりました。合格者の数は募集人員(29,976人)より1,788人少なく,募集人員と合格者の差は前年度(1,247人)から増えました。

全日制全体の合格率は78.6%(前年度74.2%),不合格者数は前年度(10,058人)より2,369人減って7,689人となりました。

男女合同募集の普通科の実質倍率は1.30倍,合格率76.7%となりました。
応募倍率が偏差値50を境に明確に分かれていました。よって,その傾向は受検倍率にも反映されます。(ただ,60以上を志望する受検生の中には私国立を第1志望とする生徒も多いため受検倍率は下がります)例年の傾向としては,「59~55」「54~50」の層に向けて倍率が上がり,以降は下がっていきます。今年度は「59~55」が一番高く,次いで「60~」「54~50」の層でした。前年度と比べ,50以下の学校では競争率が下がりました。50以上の学校でも,前年度と比べ全体的に緩和されています。

偏差値 合格率(%)
男女合計 男子 女子
2025 2024 2023 2022 2021 2023 2022 2021
60~70.068.266.965.365.468.164.562.2
59~5568.166.660.360.266.468.060.263.1
54~5073.663.960.161.470.366.162.570.0
49~4584.172.369.575.775.171.776.274.8
44~4088.079.980.385.586.981.985.283.8
39~95.487.691.992.990.795.595.091.6

男女合同の普通科の合格率を学力別に見ると,今年度内で最も合格率が低いのは「59~55」の層で68.1%でした。従来,男女とも偏差値50を境にして上位層と下位層では合格率に大きな差が生じており,「54~50」の層の合格率は「59~55」「60以上」に近い数値でした。しかし今年度は全体的に合格率が大きくアップしており,「54~50」は7割を超えています。過去にはなかった偏差値50台の学校の定員割れからもわかるように,全体の受験者数減による影響は合格率にも及びます。私立・通信制志向の波が徐々に中堅層にも及びだしたということがここでも確認できます。

コース制は実質倍率1.13倍,合格率88.2%(前年度1.49倍,67.2%),単位制普通科は1.29倍,77.7%(同1.34倍,74.6%)で両方とも倍率が緩和されました。

一方,専門学科では農業科が1.22倍,82.2%(同1.15倍,86.8%),商業科が1.06倍,94.3%(前年度1.05倍,95.3%),ビジネスコミュニケーション科が1.11倍,90.1%(前年度1.08倍,92.9%),理数科が2.55倍,39.2%(前年度1.96倍,51.1%),体育科が1.64倍,61%(前年度1.33倍,75%),前年度と比較し,競争率が高くなりました。他の主な学科については,工業科(単位制を除く)1.06倍,94.1%(同1.09倍,91.9%),産業科1.02倍,98.3%(同1.09倍,91.9%)等,いずれも昨年度より競争率が低くなりました。

総合学科は1.20倍,83.7%(同1.27倍,79%)で前年度よりは競争率が低い入試となりました。

全日制の入学手続き者数は28,005人,辞退者は183人,辞退率は0.65%でした。

第二次募集・分割後期募集の入試状況

全日制第二次募集・分割後期募集の募集人員は前年度より548人多い2,537人(前年度1,989人)でした。全日制普通科の分割募集実施校以外では,大森(75人),杉並(3人),高島(1人),光丘(67人),葛西南(89人),篠崎(45人),紅葉川(1人),多摩(81人),府中西(1人),拝島(10人),野津田(54人),東村山西(30人),東大和(13人),東大和南(1人),永山(19人),五日市(70人)で欠員が生じ二次募集を実施しました。直近3年間の二次募集実施校数と募集人員の推移をみると,38校1,209人(2023年度)→38校1,104人(2024年度)→48校1,587人(2025年度)と今年度で大幅に実施校数および募集人員が増加しています。

この全日制の募集人員2,537人に対し応募者数は前年度より300人近く減少し763人,倍率0.30倍で前年度(0.53倍)を下回りました。島しょおよびコース制,単位制普通科を除く全日制普通科では募集人員1,293人に対し応募者は551人で0.43倍(前年度0.89倍)と5年連続で1倍に達せず,大幅な倍率ダウンになりました。専門学科を見ると,商業科は募集人員98人に対し37人の応募があり0.38倍と前年度(0.82倍)から倍率ダウン,工業科(単位制含む)は募集人員560人に対し応募者は75人,倍率0.13倍(前年度0.26倍)で倍率ダウンとなりました。

普通科では,東大和南が募集人員1人に対し5人の応募があり5.00倍,田園調布が募集人員12人に対し36人の応募があり3.00倍,杉並が募集人員3人に対し6人の応募があり2.00倍,その他日本橋1.33倍,竹台2.13倍,東村山1.48倍。例年と比べると,飛びぬけて倍率が高い学校はありませんでした。

全日制全体で願書を取り下げた人は59人で応募者の7.73%,前年度(80人,7.61%)より人数自体は減りましたが,割合は微増となりました。志願変更後の最終応募者数は765人,倍率は0.30倍(前年度:1,061人,0.53倍)となりました。分割後期募集校では南葛飾が5人,前年度3人の願書取り下げがあった竹台では12人の取り下げとなりましたが,その他の学校では願書取り下げ5人を超えることはなく,応募締切時とあまり差はありませんでした。専門学科では,前年度の最終応募倍率が1.40倍だった産業科が0.19倍と大きく落ち込み,専門学科全体の最終応募倍率は0.16倍(前年度:0.30倍)となり,前年度と同様に二次募集でも欠員が埋まりませんでした。