新教育研究協会/吉野創育

志望校の選び方

「なんとなく」ではなく、入学後の3年間を具体的に想像しながら、自分に合う高校を見極めるための視点を整理します。

高等学校(以下「高校」)は、小学校・中学校と違って義務教育ではありません。高校で勉強したいという意思のある人が、自らの意思で高校の入学者選抜試験を受験し、それを突破して進学するところです。

しかし今や高校進学率は98%を超えており、中学校を卒業すると高校に進学することが当たり前のようになっています。当たり前になっているからこそ、「なんとなく」ではなく、明確な見通しを立てて、進学したい高校を選ぶ必要があります。

ひと口に高校と言っても、設置者別では公立高校、私立高校、国立高校、課程別では全日制、定時制、通信制、学科別では普通科、専門学科、総合学科など、その種類は千差万別です。中学生のみなさんは最終的に、その中から進学する高校を1つ選ばなければなりません。

進学してから「こんなはずでは……」ということにならないよう、高校受験での志望校の決め方について考えていきましょう。

01

高校の雰囲気

3年間通うことになる高校です。高校の雰囲気は、学校によって大きく異なります。服装ひとつ取っても、制服、自由、式典のみ制服着用など様々です。

クラブ活動が盛ん、文化祭が熱いなどの特色も、雰囲気と自分の感性が合わなければ、有意義な時間を過ごすのに苦労することがあります。また、生徒の自主性に任せる校風なのか、細かいところまで面倒見が良い校風なのかも、自分に合うかどうかを考えるうえで大きな要素です。

説明会やオープンスクールに積極的に参加して、とことん自分が通いたいと思える高校を探すようにしましょう。

02

高校卒業後の進路

大学進学、専門学校進学、大学受験準備、就職など、卒業後の進路の割合は高校によって様々です。それによって、進路指導室での指導方針や資料の充実度など、重点の置き方も変わってきます。

大学進学率の高い高校でも、大学附属校なのか、そうでないのかによって指導方針は大きく異なります。大学附属校でも、ほとんどが系列大学に進学する高校と、他大学への受験者が多い高校とでは、指導方針だけでなくクラスの雰囲気も変わってきます。

さらに、ほとんどが系列大学に進学する高校でも、高校3年生の時点で希望する学部が系列大学にない場合は、他大学を受験しなければならないことがあります。単に大学進学者が多いか少ないかではなく、細かな視点で卒業後の進路状況を調べておきたいものです。

03

高校の施設・設備

高校にどのような施設や設備が整っているかも、高校3年間を有意義に過ごせるかどうかに大きくかかわります。全天候型グラウンド、室内温水プール、食堂、カフェテリア、ホール、天体観測設備、自習室など、それぞれの高校が誇る施設・設備は様々です。

「隣の芝生は青く見える」といいますが、自分が進学した高校にはなく、他の高校に良い施設があれば「あちらの方が良かったなあ」と感じてしまうのも無理はありません。施設・設備の違いを理解したうえで志望校を決めておくことは、入学後、納得して高校生活を始めるためにも重要です。

04

部活動

「中学校で頑張った部活動を高校でさらに継続したい」「高校では新たな部活動に入って新しい自分を発見したい」。このような希望を抱く受験生も多いことでしょう。

高校での部活動は、運動系だけでなく文化系も活動の幅が大きく広がります。高校での部活動での出会いが、その後の人生の礎になる場合もあります。

ただし、部活動によってはかなりレベルが高く、初めから全国大会を視野に入れて活動している場合もあります。入部してからのギャップに悩むことのないよう、どのような活動をしているのかも、オープンキャンパスなどの機会を利用して確認しておきたいものです。

05

通学の所要時間

通学にかかる時間も、志望校選びではとても大切です。仮に片道1時間30分かかる場合、朝のホームルームには間に合っても、部活動で朝練習がある日は間に合うのかなど、具体的な学校生活をイメージしながら経路を調べましょう。

通学時間が長いからといって、必ずしも勉強にあてる時間が短くなるわけではありません。電車・バスに乗っている間を、単語や熟語の暗記時間にあてるなど、工夫を凝らしている高校生は大勢います。

ただし、通学時間が長い場合は、短い場合に比べて時間の使い方に計画性が求められるので注意が必要です。

06

自習室

学校の施設とも関連しますが、「自習室」は志望校選びのうえで重要度の高いポイントです。学校の閉門時刻まで自習室を利用できる高校もあります。

高校生になると、それぞれの教科の難易度は格段に上がり、授業の進行も早くなります。部活動が終わった後に自習室で宿題を片付けて帰宅する高校生もいます。3年生ともなると大学受験を控え、席の取り合いになる高校もあるようです。

07

公立・私立・国立の違い

授業料の実質無償化の流れで、私立高校の志願者が近年増えています。また、私立高校には独自の教育理念があり、どのような教育をしたいかが分かりやすいという特徴があります。

ただし、実質無償化といっても、それは主に「授業料」の話であり、入学金、施設設備費、タブレット代、制服代などの費用負担は必要です。その点では、公立高校・都立高校は費用が安く済みます。国立高校も私立高校よりは格段に費用が安く済みます。

一方で、国立高校には指導方法や指導技術についての実験校的役割があるため、その点については志望校を選ぶときに理解しておく必要があります。

公立・都立、私立、国立には、それぞれ学校の特徴と良さがあります。学校選びは学費だけで決めるものではありません。しかし中学校と違って様々な費用が発生することも事実です。受験生と保護者の間で共通理解を深めながら志望校を選ぶようにしましょう。

学校説明会・見学会で確認したいこと

志望校選びには、高校をよく知ることが重要です。その高校をよく知るまたとない機会が、「学校説明会」「学校見学会」「オープンキャンパス」などのイベントです。1回だけでは全てを知ることはできないので、複数回訪問して、疑問に思ったことは何でも高校の先生に質問すると良いでしょう。

志望校選びは、受験生の「あこがれ」だけで決めるものではありません。また、保護者の「先入観」で決めるものでもありません。入学すれば3年間通うことになる学校ですから、受験生本人と保護者とで、ともに高校をよく見て、知って、共通理解を深めながら志望校を絞り込むようにしましょう。

大切なのは、「入れる高校」だけでなく、「入学後に自分らしく成長できる高校」を選ぶことです。
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